2017/06/21更新0like6471view

著者:nanpei2969

「42条2項道路(みなし道路)」に接した土地で家を建てるときの「セットバック」とは

建物を建てるときに守らなければいけない建築基準法では、敷地や道路について色々と決まりがあります。特に道路についてはさまざまな規定があり、敷地に面する道路の幅員についてはさらに細かいルールが定められています。

その幅が確保できていない場合、建て替えなどはできないのでしょうか・・・そのようなときに適応されるのが「42条2項」と呼ばれる条項です。ここでは、その「42条2項道路」について少し詳しく解説したいと思います。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

前面道路について

建築基準法では、一般的に前面道路の幅員が4m以上の道路に2m以上接しなければいけないと規定されています。幅員が4mない場合でも「42条2項道路」に指定されていると、その決められたルールを守れば建築することは可能です。
前面道路が4メートル以上の場合

前面道路が4メートル以上の場合

42条2項道路とは

建築物に関する基準を定めた建築基準法において、42条1項では「道路」を幅員が4m以上のものと定めています。また、同法43条1項では、建築物の敷地は「道路」に2m以上接していなければならないとしています。(1992年の法改正により、条件によっては幅員6mと規定される場合もあります)

しかし、実際には昔からの建物が建ち並んでいる道に、幅が狭いからといってまったく建物が建てられないとなると、現実社会に大きな混乱を招いてしまいます。

そこで42条2項においては、幅員が4m未満の道であっても、建築基準法が施行された時点、もしくは、都市計画区域に編入時点で既に建物が立ち並んでおり、特定行政庁の指定された道路は、その中心線から水平距離で2m(場合によっては3m)の線を道路境界線、敷地前の道を挟んだ向かい側が川や崖などの場合は、向かい側の境界線から4mの線を道路境界線とみなす、と規定しています。

この規定により、幅員4m未満であっても、4mとして取り扱われる道路を一般的に「42条2項道路(みなし道路)」と言います。

これによって長い年月はかかりますが、いつか道路の幅員は4m以上になります。
42条2項によって長年かけて道路が拡張される

42条2項によって長年かけて道路が拡張される

例えば、建て替えを予定している敷地前の道路の幅員が3m80cmしかなかった場合、中心線からの水平距離は1m90cmとなり、10cm分敷地を後退させる、つまりセットバックさせる必要があります。

また、敷地前の道を挟んだ向かい側が川や崖などで敷地の後退が不可能な場合は、反対側の境界線から測って、4mに足りていない20cm分をセットバックさせる必要があります。

「42条2項道路(みなし道路)」に接した土地に家を建てる際の「セットバック」とは

前述の「42条2項」に規定されている通り、幅員が4m未満の前面道路を4mのみなし道路とした場合、境界線と元の境界線との間の敷地には建物や塀、擁壁なども建てられません。

また、その部分の敷地は敷地面積に含まれないため、建ぺい率や容積率を求める際には気をつけてください。

このように「42条2項道路」に接する土地に建築をするときの道路境界線は、もとの道路境界線ではなく、道路中心線から水平距離で2m(場合によっては3m)後退した線、または、敷地前の道を挟んだ向かい側が川や崖で、その境界線が道路中心線から2m未満の場合は、反対側の境界線から水平距離4mの線を道路境界線として扱うことを「敷地のセットバック」と言います。
セットバックした場合の具体例

セットバックした場合の具体例

まとめと注意点

○建築物の敷地の前面道路の幅員は4m以上ないといけない。

○幅員が4mない場合で、道を挟んだ向かい側も同じように後退できる状況の時は、その中心線から2m(場合によっては3m)後退した線。または、向かい側が川や崖の場合で敷地側と同じように後退できない場合は、その境界線から4m後退した線を道路境界線とします。

○幅員が4mない道路がすべて「42条2項道路」というわけではないので、適合するかどうかは必ず役所に確認が必要です。

○将来的には、道路の幅員が4m以上になることが考え方の基本です。

○建築ではセットバックした範囲は道路として扱うので、建築の計算をする場合は敷地面積には含まず、基本的には何も建てられません。ただし、登記や売買などの権利関係では、面積に含まれる場合がほとんどですので注意が必要です。
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